会社名 : 株式会社ミツキ
業 種 : 卸売業
概 要 : オフィス移転
所在地 : 大阪府
規 模 : 275㎡ / 83坪
完 了 : 2018年
株式会社ミツキ
【 目 的 】 | 働き方・働く環境の改善 |
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【 施 策 】 | 企業文化と働き方に合わせた《ヒトコトバ》づくり 現状の取組に合わせた場づくり |
【 成 果 】 | 開発関係者がイメージがしやすい環境を用意することで、仕事のし易さを改善 目的に合わせ働く場所が選べる快適さを実感。モチベーションや満足度、アウトプットが向上 |
ミツキ様は100円均一の雑貨を開発から卸売りまで行っている企業です。元々の前身の会社は、45年続く100円均一業界でも一番と言っていいほど経験と実績をお持ちの会社です。
2016年に新会社となり、その後は取り組みや働き方も大きく変化していく中で、今回の移転を機に、これからの働き方に即した環境を目指していくこととなりました。
まず移転の際の最初の課題は、現在の経営陣が求める「理想の働き方に対して、現状の場づくりにおける不具合を見つけ出すこと」でした。
一般的な中小企業ではよくあることですが、社員の働きやすさというものにはあまり興味を持っていない、あるいは何がそもそも働きやすいのかを理解していない、
働きやすさの効果が社員の成果とつなげられるということを感じていない場合が多いのですが、このミツキ様については全くそんな心配がありませんでした。
働き方改革は、経営者・上司の改革と捉え、社内ルールと場が変われば社員も変わってくると信じ、常にソフトとハードの両面を考えておられた為、
我々は現在の制度に対し、足りない場を作り上げていくような感じでプロジェクトを進めていきました。
特にビジネスにおけるコミュニケーション(コラボレーション)の取り方が、部署が異なるとやり方も違う。
新しいものを生み出す開発環境としてはどうあるべきなのか、営業や業務の担当者はどのようにやり取りをするのが働きやすいのか、そんなことを1つ1つ確認を取りながら、
個人の時と2、3人の時、あるいはもっと多いグループの時のテーブルの形状や高さ、そしてホワイトボードやモニターといったツールのセッティングを考えて行きました。
コンセプトは「みんなの家」のようなものにしたいというのは、比較的早い段階から決めていました。
1つめの理由としては、まず取り扱い商品が家庭で使用するアイテムが主だったためです。
「家庭で使っているイメージが常に感じられるようにする」ことが重要だと考えました。
商品を開発する上でも「どのように使われているのがしっくりくるのか」、これは実際に家に置いてみる感覚が必要でした。
例えばインテリアショップで見た家具を実際に買って家に置いてみたら、大きさの感覚が異なっていたなんて経験、皆さんにもあると思います。
自社が取り扱う商品においては、そんな違和感があってはなりません。
よって出来るだけリアルに家で使っているイメージが出来るようにすることを心掛けたのです。
2つ目の理由としては、社内のコミュニケーションの活性化です。
部門の垣根を越えて多くの社員がコミュニケーションを取ることは、業務のスピードを上げ、ミスを防ぎ、結果より多くの成果を生み出します。
それにはみんなが「いつでも・どこでも・だれとでも」常にワイガヤ出来る空間であることが重要で、その感じを生み出しやすいのは家のような雰囲気が最適だと感じたのです。
最後に「家族が遊びに来れるようなオフィスにしたいと」いう社長のご要望がありました。
これが《企業の文化》として、上記《働き方》とマッチさせた時「オフィスはどんな価値をもたらすべき場なのか?」を考えました。
「ライフスタイルの充実や生活のクオリティを大切な価値として感じられる」こと、そんなオフィスにしようと考えました。
デスクワークのみならず、それぞれの部門に必要な機能と設備、そしてそれらが円滑なコミュニケーションとしてつなぎ合える場。
それがミツキ様の「みんなの家」になったのです。
Design
『リビング』をイメージしたオフィス空間 【上部写真】
気が付くとみんなが集まる場所に。
また、建材を使用せず、ワイヤーを組み合わせることにより、圧迫感なくホームの形を表現しました。
テレビ画面には開発業務をサポートするためITシステムを搭載し表示ており、
取扱い商品に関するトレンド情報や顧客の声を社員の共通認識としてインプットできるようにしています。
『玄関』をイメージした人を迎える温かいエントランス
『洗面室』をイメージしたテスターエリア
『ダイニング』をイメージした皆が集まる会議室
モニターとホワイトボードに加え、商品をディスプレイ陳列できるラックを設置しています。
クライアントや商談内容に合わせて、商品の入れ替えができるようになっています。
モニターは海外とテレビ会議をすることも、PCだけではなくスマートフォンを接続することも可能です。
気軽に書いて、気軽に映して、皆がデスクで向き合うことにより、会議が捗ります。
『キッチン』をイメージしたリフレッシュ&コピーエリア
このリフレッシュ&コピーエリアはコピーを取りに来る人やコーヒーを飲みにくる人、
打ち合わせをする人が自然と集まるコミュニケーションエリアとしての機能を果たしています。
夕方5時以降はお酒を飲みながら話をして早く帰る、という社風もプラスされ、
バーカウンターのような賑やかな雰囲気となっています。
デザインの協議を重ねながら、コンセプトを実際のカタチとして行った「みんなの家」。
入居後は、社長様が自ら共有スペースの植物を置いたり、皆でキッチンスペースのお酒を持ち寄ったり、
自分たちらしくいられるよう、楽しんで手を加えてくださっている様子が印象的でした。
みなさん初めは戸惑いがありつつも、慣れてくるにつれて、クライアントや商談内容に合わせて、
商品の入れ替えを行うなど工夫を凝らして、商品棚を自ら考えて有効活用されるようになりました。
機能的で魅力的なオフィスであり続けるために、毎日掃除を欠かさず、整理整頓を徹底するなど、
ルールを設けて運用し、より良いワークスペースを目指して運用しているのも大きな特徴です。
こうして、入居から日が経つに連れてミツキ様らしいオフィスに成長し続けています。
お金をかければいくらでも素敵と思われるオフィスを作ることはできるのかもしれませんが、
必ずしもそれがすべての企業にとって、一番の価値であり良い働き方ができるものになるとは限りません。
予算や面積が限られているとしても、その中で最善を尽くしてできあがったオフィスを愛してくださり、
自分たちの大切な空間として日々アップデートされたオフィスに適うものはありません。
東京-大阪間の距離のあるプロジェクトでしたが、ミツキ様とのコミュニケーションを通して、
これからの企業成長に本当に必要なものを形にすることができました。