うずしお観潮船 アクアエディ 船舶デザイン 外観

【船舶デザイン】アクアエディのプロジェクトを振り返る

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    うずしお観潮を特別なひとときに飾る

概 要 : 船舶の外装およびインテリアのデザイン
船 主 : 鳴門観光汽船株式会社
用 途 : 水中観潮船
航 路 : 徳島県,鳴門海峡
規 模 : 19t
完 了 : 2016年

  • 《CRAFA》 for Public Transportation

CRAFAとは、Creative Attractions for Facility & Activitiesの略である。
「日常の交通手段をより豊かなものに」をコンセプトの下立ち上げられたブランドサービスである。
デザインの力で、毎日の通勤・通学の足を特別なレジャーにすること。
これがこのブランドのミッションである。
メインプロジェクトは、小型船舶のデザインである。

うずしお観潮船 アクアエディ 船舶デザイン 客室
うずしお観潮船 アクアエディ 船舶デザイン 客室

さて、今回のプロジェクトは、「アクアエディ」のデザインの更新である。アクアエディとは、徳島の観光名所の1つ「鳴門の渦潮」を海上から見る観光船の1つである。
「うずしお観潮船」と呼ばれるこの観光船は、実は2つある。大型船の「わんだーなると」と小型船の「アクアエディ」だ。この2つにはそれぞれ異なるの特徴がある。
大型船の「わんだーなると」は、まず一度に多くの乗客を乗せられるのが特徴だ。予約の必要なく運航も安定していることで、船が苦手な人でも乗りやすく人気がある。
一方、小型船は、小型のボディを活かし、渦に呑まれるダイナミックな渦潮を体験できる。船内は小さく人数が限られているものの、この臨場感が大型船にはない特別な魅力だ。
どちらも鳴門の渦潮を目の前に見ることが出来る、貴重な体験が出来ることは間違いないだろう。

ところで「アクアエディ」のもう1つの重要な特徴として「海中探索」がある。渦潮を海の中から見てみようという、好奇心の塊のようなマニアックな試みである。
それがどのぐらい驚きをもたらす体験かどうかは、是非自身の目で見て判断してもらいたい。少なくともあの渦潮が「海の中ではどうなっているのか?」という好奇心は満たしてくれるはずだ。
ところがアクアエディは小型のため、海上の安全が確保されるまでは船の中で待機しなければならない。その間、少しでも狭い船内の中を楽しんでもらえるようにすることが、今回の大きな課題であった。

元々「海中探索」がこの船の売りでもあるアクアエディ。我々は「出発からうずしおに到着するまで」のストーリー作りを行った。
到着までの10分程度の時間。潜水艦の中の様に狭い船内でも緊張感を感じずに過ごすためのストーリー。
考えたものは「アクアリウムとプラネタリウムの融合」である。海の中の冒険と探索をテーマに、アクアエディ号を「探索艇」に見立て、出発するストーリーだ。
以下にそのストーリーを紹介しておこう。

うずしお観潮船 アクアエディ 船舶デザイン 客室
  • うずしお目指して、さあ出発だ!!

まだ見ぬうずしおを探索するために、いよいよミッションの開始
船員となって乗り込んだ船は、最新鋭のAQUA EDDY号。
これからの冒険を共にする相棒だ。

暗い船内に広がる光のトンネル・・・
ここは海の中なのか、それとも宇宙なのか?
船が出発すると、やがて窓の外にはアクアブルーの世界が

これから始まる旅の先には何が待ち受けているのだろう
「無事渦潮まで、たどり着けるのか!?」
ドキドキとワクワクが交差する

でも相棒と一緒なら、なにも怖くはない!
ぼくは叫んだ!「AQUA EDDY号! さあ、うずしお目指して、全速前進だ!!」

今回のプロジェクトは、このブランドを推進するにあたって貴重な経験となった。
日本の小型船舶デザインにおける障壁なども垣間見えたプロジェクトであった。
内外装ともにデザインを担当することになったが、外観は船主の意向も強く、主にインテリアのデザインが中心となった。
結果、我々の中では新しいものを生み出そうという試みがあったものの、外観は規定路線を貫いたため、少し違和感が残ってしまった。
出来れば次回以降は、外観とインテリアが一体となったストーリーが作れると良い。
船舶をモノではなく、体験と捉えて貰えることが出来るか。この辺りが今後、大きなデザインの障壁となりそうだ。